私こと日上は、1993年に駐在場所を香港から上海に移動して以来、20数年中国実務に携わっておりますが、とりわけ2010年以降中国案件は複雑化し、会計事務所だけ又は弁護士事務所だけで対応できる時代ではなくなりました。中国実務経験20年超の日本人専門家(無資格のコンサルタントは包括しません)及び中国人専門家がチームアップすることで、再編及び撤退のためのリストラや工場売却及び法人売却(持分譲渡)は初めて可能となる時代になっております。
持分譲渡はお金が出てゆくだけの清算に比べ、M&Aの手法で買手(譲渡先)を見つけ、会社自体または工場を買ってもらうと、お金が親会社または現地法人に入ってきます。法人自体が継続されますので、既在のお客様にご迷惑を掛けることがなくて済む可能性が大です。中国では買手捜しのマーケット自体が成熟しておりませんが、弊社はさまざまな人脈やお付き合いを通して、日系のみならず香港系・台湾系・現地中国系の買手企業を見つけ出し、数億円から数十億円超の現金を買手企業から親会社や現地法人に入金するという成功事例を積み重ね、「持分譲渡のための後ろ向きM&A」の分野において顕著な実績を残して参りました。
現状において、日系企業が事業縮小(リストラ)や撤退を余儀なくされる背景には3つの要因があります。第1は「人件費の上昇」(2010年来の5年でほぼ2倍)、第2は「市場競争・価格競争の激化」(商品価格のダンピング競争)及び「中国経済の減速」、第3は「労働者の権利意識の高揚」です。とりわけ労働者の就業権利保護等を定めた2008年「労働契約法」の施行以来、中国事業の利益獲得自体が大きく停滞ないし毀損せざるを得ない状況となってきております。
中国政府は「外商投資企業設立及び変更における届出管理の暫定弁法」により、外商投資企業に関する審査・認可(『審批』)事項を2016年10月1日より届出(『備案』)による管理に変更しましたが、買収規制との関係で外資企業から内資企業への持分譲渡手続き、さらには工場売却における土地使用権及び建物の従来の登記手続き等において、中国全土を一括したネット管理展開にて行おうとしており、現在は正に「過渡期」を迎えております。このような背景には役人腐敗の一掃、さらには個別の資産所有権者に対してキャピタルゲイン課税の導入、相続税・贈与税の導入を実施してゆくことになるものと予想されます。
いずれにせよ、中国再編において大きな変更と影響を与えており、中国全土においての導入には、相当の実務上の葛藤やリスクに直面せざるを得ません。是非とも弊社への益々のご相談及び案件依頼をお待ちいたしております。